世の中の言説は全部誰かの都合であることを再認識するときの一曲~Dead Kennedys/Kill The Poor

皮肉といえば昔はイギリス、イングランド、大英帝国という印象だったんですけれども、いつからかアメリカがそのポジションを奪ったように思えます。なんでそう思うかというと、近年(といってももう数十年経っていますが)のアメリカの比較的売れたパンクバンドやオルタナバンドの歌詞が、昔の(古き良き?)アメリカのイメージの真逆な、非常に病んだものになっていると痛感するからです。

たとえばイギリスのEXPLOITEDなどは、ハードコアパンクで出てきた時のイメージのまま、ものすごく売れることもなく、今も現役で活動しているようなのですが、アメリカのGreen DayやNirvanaは、ものすごく売れてしまって、「ロックの殿堂入り」みたいなポジションになっています(とはいえ「知らん人は知らん」みたいなところもないわけではないですが)。

しかしその歌詞は、もう「なんでこんなのがバカ売れしたの?」と思ってしまうほど病んでますし、こんなのがバカ売れする国なら、そらトランプさんも大統領になるわな、と変なところで納得したりします。

そんな「病んだアメリカ」の、皮肉に満ちた一曲に、Dead Kennedysの「Kill The Poor」という曲があります。歌詞は、「貧乏人を殺せ(中学生程度の自分の英語力でもわかる)」というもので、富裕層の目線で邪魔な貧乏人を殺すという、物騒なことを歌っています。

しかし彼らはDead Kennedysというとんでもないバンド名(直訳すると「死んだケネディ一族」)を付けているとおり、大衆受けしようと思ってないですし、富裕層でもない(多分)ですし、その後バカ売れして超メジャーになったわけでもないので、これはもう「病んでいる」か「皮肉屋」かというもので、多分皮肉だったんでしょう。欧米人の皮肉って、日本には定着していない文化だなあ、と思います。

彼らは1980年頃のアメリカのパンクバンドで、この曲を収録したアルバムはかなり政治色の濃い、そして皮肉に満ちた内容でした。当時のアメリカがどんな具合だったのか(まあ今と本質的には変わってないでしょう)はともかくとして、この「Kill The Poor」は、世の中の言説が実は富裕層や支配層の都合で出来ていて、それに対して富裕層でも支配層でもない人々は、何かを考えたり行動したりしなくていいのか?、という問題提起を思い出させる一曲です。

彼らは曲を発表して皮肉で打ち返していますが、ボーカルのJello Biafra(ジェロ・ビアフラ)氏は、この曲の発表の同時期に、サンフランシスコ市長選挙にも出たといいますから、皮肉を投げつけた後のネクストアクションを考えていたのかもしれません。

Dead Kennedys/Kill The Poor

Efficiency and progress is ours once more
Now that we have the Neutron bomb
It’s nice and quick and clean and gets things done
Away with excess enemy
But no less value to property
No sense in war but perfect sense at home:

The sun beams down on a brand new day
No more welfare tax to pay
Unsightly slums gone up in flashing light
Jobless millions whisked away
At last we have more room to play
All systems go to kill the poor tonight

Gonna
Kill kill kill kill Kill the poor
Kill kill kill kill Kill the poor
Kill kill kill kill Kill the poor Tonight

Kill kill kill kill Kill the poor
Kill kill kill kill Kill the poor
Kill kill kill kill Kill the poor Tonight