「考えてもしょうがないことは東スポの占いで決める」が正しい理由

1980年代から長く活動していて、日本はおろか世界レベルでもカリスマ的な存在感を誇る東京のハードコアパンクバンド、GAUZEの曲「貧乏ゆすりのリズムに乗って」に、「考えてもしょうがない事は 東スポの占いで決める」という歌詞がある。この曲が納められている同名のアルバムは、2007年に彼らのアルバムとしては10年ぶりに発表されたのだが、10年以上経過した今でも、思い出したように年に何回かは聴いている。

するといくつかの(その時点で抱えている)モヤモヤした気持ちがいくばくかは消えて、なんらかのアクションを起こすことができている。自分は、「考えてもしょうがない事は、東スポの占いで決める」ことに賛成だ。そして日々実践している。最近東スポは買わないけれども(かつて関西在住の時には大スポを毎週買っていた)、考えてもしょうがないことは、早期に二択か三択に落としたうえ、とっとと決めてアクションを起こすようにしている。というか自然とそうしている。

どうでもいいことはアクション優先ですぐ決める

GAUZEの音楽に出会ったのはかれこれ40年近く前だったかと思うが、当時はハードコアパンクの勃興期で、イギリスや日本などでほぼ同時期に、音楽的にも主張的にもさまざまなベクトルのバンドが登場していたが、その中でもGAUZEはかなり異色な存在として自分は感じていたものだ。

何を異色と感じたか?といえば、当時流行り始めた「ハードコアパンクという音楽性」の中での異色性としては、たたきつけるような歌唱方法と、独特の主張とリズム感を持った歌詞群、かなり早い時期から現在と同じスピードの曲を演奏していたことなどだったのであるが、同時に反商業主義というか、バンドの歩みと歩調を合わせるように進化してきたfacebookやtwitterなどの「こんにち的なSNSメディア」とは一線を画していて(実際彼らはそれらのSNSには参加していない)、誤解を恐れずに言えば「一切の経済活動的な迎合を許さない」ようなバンドの姿勢が、独自性をとおりこして、もはや孤高のイメージにまで昇華され、パンク界隈にもそのポリシーは浸透し、もはやGAUZEはGAUZEというジャンルというか独自活動集団としかいいようがないくらいの領域までの存在感を持っている。

こういったポリシーを持ち、数十年という活動歴を持つバンドの「ぶれない発信」は、自分にとっては老舗のお気に入りブランド、いやブランドというとちょっとイメージが違うか、行きつけの海や山や神社のようなもので、「もともと何が好きで、何を目指していたのか」を思い出してその思考に立ち返るための基準にもなりえている。いまさらながら、GAUZEの活動が継続していること、発信がぶれないことは、まったくもってすごいことだと思うし、自分にとってもありがたいことである。

自分はこう解釈している。「考えてもしょうがないこと」とは「どっちでもいいこと」であり、「東スポの占いで決める」は、どんな選択をしたとしても自分自身でやりきる、またはやらないでいるリスクを引き受ける覚悟を持つことではないか。「とにかくアクション優先」ということだと理解している。「何らかの判断を自分自身(なぜならば東スポの占いで物事を決めても、決めたことを動かすのは自分自身だから)でおこなえば、結局自分自身に跳ね返ってくる」という事実は、世の中にアホみたいに溢れている格言やことわざの類で知られているとおりであるが、当事者としての自分が何をするかを決める物差しは必要だし、すべての判断を七転八倒してうんうん唸って決めていたら時間がいくらあっても足りないので、本当に考えなければならないことに絞り込む事も必要だと思う。だから、どうでもいいことは東スポの占いに任せるのである。そうすれば、たいていのことはとっととアクション出来る。

 

考えるべき対象は考え抜いてアクションする

どうでもいいことを東スポ占いに任せる=アウトソースして浮いた時間は、「どうでもよくないこと」、つまり「自分にとって大事なこと」を考えたりアクションしたりする時間に充てる。「選択と集中」といったキーワードも昨今よく耳にするが、アクションありきで言説だけが飛び交っている印象もぬぐえず(こんな文章を書きながら実際自分は評論家のようなアプローチは好きではない)、その理由はおそらく「当事者意識が薄いことが透けて見えるから」なのではないか、と思っている。GAUZEの世界観の中にある、「大事なことを考え抜いて実践すること」や、「どうでもいいことはさっさと片付けること」、「自分自身の尺度と判断で突き進むこと、リスクは自分がとること」は、会社や社会や家族、組織、どの世界にも通じるのではないか。

最後に、「貧乏ゆすりのリズムに乗って」の曲の歌詞をもう少し掲載する。普遍的で含蓄のある、それでいて素朴でシンプルで、非常に力強い。シンプルにまとめることには力がある。短歌や俳句の奥深さにも通じるのではないか。歌詞の意味をかみしめて、今から、明日も、ぼちぼちかつ気合を入れて生きていこう。

「精一杯の強がり言うより てめえをさらけて恥をかけ。自分で思ってるほど他人は てめえの事など見ちゃいねえ」「一度決めたら口に出してみろ 口に出したら意地でも守れ。どうせたいした人間じゃねえ 一つくらい意地でも貫け」(GAUZE「貧乏ゆすりのリズムに乗って」2007年 表題曲はラストに収録されている。)