アジャイルとウォーターフォールの品質管理方法の違い

日本のIT国家戦略を、人材面・技術面で支援するために存在している、経産省所管の独立法人情報処理推進機構(略称IPA)が提唱している「ITSS+」というITスキル標準に、2018年からlotとアジャイルが追加になったそうです。

アジャイルに関しては「何をいまさら」感が否めませんが、一部のマニアや専門家の方法論である時期を脱して、ようやく市民権を得たというか国家が認めたというか、これまでとはアジャイルの捉えられ方が少し変わってくることが予想されます。

具体的に言えば、「ウォーターフォールかアジャイルか」といった議論が遡上にあがる敷居が下がって、一般ユーザーがシステムを導入する際に、普通に選択肢としてあげてくる可能性が高まるのではないか、と思われます。これによって何が起こるか。システムを作る側目線で、主に品質管理の切り口で、アジャイルとウォーターフォールを比較してみたいと思います。

安い、早い、でもうまいかどうかはわからない

アジャイルはウォーターフォールと比べて、まず圧倒的にプロダクト提供のスピードが早い、という特徴があります。これは、ウォーターフォールのように、実際にモノ作りをおこなう製造工程の前に、要件定義工程や設計工程といった机上での設計を時間をかけておこなわず、要件確認をプロダクト、つまり「動くモノ」でおこなうため、ユーザーにより早く試作品=プロダクトを示すことができます。

「早く提供できる」ということは、何人も会議に出て時間をかけて設計をおこなうウォーターフォールと比較して、最初の試作品を提供するまでのコストも低く抑えることができます。「早い」、「安い」ですね。

しかし「品質」に関しては、設計情報からレビューを繰り返し、「てにをは」に至るまでの何度も修正するウォーターフォールに比べて、アジャイルのプロダクトはかなり「粗い」ものです。つまり「早くて安いがうまくない」ことが多い、と考えた方が良いでしょう。

イテレーションを何度も繰り返す

「プロダクトの粗さ」を、アジャイルでは「イテレーション」という繰り返しのプロダクト精査工程で改善していきます。まあイテレーションの本当の目的は、「ユーザー要求がプロダクトに正しく盛り込まれていること」を確認することなので、イテレーション工程を終えても、プロダクトの品質が粗いままであることもよくあります。

 

品質向上とドキュメント作成工程を予定しておく

そこでアジャイルでは、イテレーション工程完了後、プロダクトの仕様をフィックスしてドキュメント化し、ユーザー使用に耐えうるレベルのプロダクト品質にまで品質をことをおこないます。場合によってはこのアクションは、ひとつのイテレーションが完了した後、課題や改善点を洗って、次のイテレーションで吸収する場合もあります。

いずれにせよ、「アジャイルだからドキュメントもテストも不要」なわけではなく、スピーディーに粗くプロダクトを作った後、プロダクトとしての品質基準を満たすレベルには品質向上をおこないますし、プロダクトありきでも不足している最低限のドキュメントは作成する、というのが一般的なのです。

IPAにおけるアジャイルのプロジェクトマネジメント基準や品質管理基準は、各社が試行錯誤をおこなった後に後発で発表されたものなので、最大公約数的な位置付けとして、アジャイル初心者のプロジェクトでは結構参考になりますし、実プロジェクトでそのままクライテリアとして使えたりしますので、一見の価値ありです。

 

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