プロジェクトの成否が偶然に左右される理由

日頃からITプロジェクトだPMBOKだ品質だコストだステコミだ、なんてやっていると、うまくいくことよりうまくいかないことの方が圧倒的に多いものです。

型どおり進めてもうまくいかない時には、ふと「そもそもなにがしたかったのか」とか、「当たり前のように使ってる判断や評価基準って、本当に正解なんだっけ?」といった、ある意味身も蓋もない、といいますか、逃避にも近い感覚に襲われることがよくあります。

PMBOKとは、Project Management Body of Knowledgeの略で、1969年にアメリカで設立された、PMIという非営利団体が提唱しているプロジェクトマネジメント知識体系のことです。「プロジェクトマネジメントにおける事実上の世界標準の体系」なんてといわれていまして、日本でも結構な数の人が、特にIT界隈のプロジェクトでは、高い頻度で使われている考え方です。

PMBOKはもともと土木建築分野や製造分野で考えられたものであるだけに、ITプロジェクトでもウォーターフォール型で進むる場合には、親和性は比較的高いです。しかしうまくいかない。なぜか。端的に言えば、「偶然(と認識される事象)や時点環境に左右されることが多いから」と考えます。今回は、この辺りを掘っていきたいと思います。

 

プロジェクトは毎回構成要素が違う

プロジェクトというものは、とあるタイミングで立ち上げられる、コストと納期が決まっている「ゴールありき」の(多くの場合は経済的な)活動であり、かけられるコストや要員は、プロジェクトを立ち上げたタイミングでの景気や社会情勢、他のプロジェクトの実施状況、空き要員のスキルレベルや価値観、プロジェクトのガバナンスの強度などによって、大きく変動します。

たとえば「家族旅行」をプロジェクトとして捉えた場合、その時点の予算、参加する家族の休みの日(つまり家族旅行に参加できる日)、正月やゴールデンウィークなど比較的コストがかかる時期(多くの人が同じ事を考えそうな時期はコストが高くなる)か否かによって、長い旅行にするのか近場で日帰りですますのかなど、計画は変動します。

さらに計画がそのまま遂行できないリスクもあります。家族旅行の直前に急な出費があったり、旅行予定日になって、参加する家族の健康状態が急に悪くなったりした場合、計画を見直さざるをえなくなります。お父さんやお母さんといった、プロジェクトマネージャーのガバナンスの強度(ちゃんと説得できるか)によっても成否は変わります。

家族旅行でもこれだけの変動要素があるなかで、多くの価値観やスキルレベルのばらつき、競合プロジェクトの存在、コスト状況等、企業のプロジェクトであればなおさら変動要素は増えます。

リスクコントロールが重要

変動要素は偶然でも必然でも起こりますので、なるべくプロジェクトを計画どおりのコストと期日で遂行するのであれば、リスクコントロールという対策は有効です。リスクコントロールとはつまり、「何か起こった時の対策を事前に想定しておいて、変動要素から受ける影響を最小限にスピーディーに抑える」、ということです。家族旅行の場合、もし直前に出費があった場合に備えて別の計画を用意しておくとか、家族が病気になった場合は次の休みに旅行をスライドさせることを事前に家族で取り決めておく、等のアクションが、リスクコントロールに該当します。

企業におけるプロジェクトも同じで、変動要素に対する「備え」を事前にどれくらい計画できているか否かで、成功する確率は上がったり下がったりするものなのです。

もっとも、リスクコントロールの必要性は理解していても、主体的に推し進めるには、強い意思と精神力が必要になってくることは、価値観が必ずしも一致していないステークホルダーで構成されているプロジェクトである以上、言うまでもありません。

 

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