年功序列と縦割り組織とITプロジェクト

ITプロジェクトでPMOの仕事をやっていると、プロジェクトに参画している個々人は、それなりに納期や品質を保って、まじめに任せられたタスクを進めていて、ぱっと見取り立てて大きな問題がないように見えるにも関わらず、プロジェクト全体の進捗や状況としては、なぜか停滞、うまくいってない、ゴールに近づいていない、ということが、少なくありません。

こうした状況に陥る要因はいくつか考えられるのですが、ここではプロジェクトを組成した、会社や組織の体質や文化がボトルネックとなっているケースについて、対処法を考えてみます。

年功序列はITプロジェクトに向いてない?

きちんとした会社で規模もそれなり、人も至ってまじめ、にも関わらず、プロジェクト、つまり「組織横断の、有期のモノつくり経済活動」の体裁になるとうまくいかない最大の理由は、大きくふたつあるのではないか、と考えています。ひとつは年功序列、もうひとつは縦割り組織です。

いわゆる「古い体質」の象徴的な特徴の代表格であるこのふたつ、成果主義やプロジェクトとの相性は、あまりよろしくありません。まず「年功序列」ですが、これは文字通り組織の在籍年数によって序列を決めるという制度であり、大前提は「会社の在籍年数や年齢は、(プロジェクトを含めた)組織の経済活動への貢献度は比例する」というものです。ITプロジェクトのような、先進性やクリエイティブな要素のある領域においては、この前提条件が当てはまらないことは、容易に想像できます。

 

強固な縦割り組織がプロジェクトを崩壊させる

次に「縦割り組織」のほうは、「年功序列」ベースで、会社や組織の中で細かく役割分担を進めた結果、小さい王国と、全体に対して責任を持たない部門長が、たくさん存在しているような状況を作り出してしまっています。しかもプロジェクトとしてのモノつくりの各工程が、王国に分断統治されてしまうため、この形だと、各王国の判断や思惑ひとつで、たちまちプロジェクト進捗は停滞、ひどい場合にはプロジェクトの着地どころか崩壊してしまうことにもなります。

プロジェクト全体の工程は、相互に関連してかつ連続しているにも関わらず、各国の王様が決めていること自体がよろしくないのですが、そもそも体質的に「年功序列」と「縦割り」が強固に染み付いている組織で、組織横断のITプロジェクトを始めること自体、かなりチャレンジングで難易度も高い、とも考えられます。

 

ガバナンスを強力に効かせる

こんなにも難易度が高く、しかも見るからに面倒くさそうな現場には、できれば近づきたくないところなのですが、悲しいかな日本の一般的なITプロジェクトの大半、少なくとも私が関わってきたプロジェクトは、ほぼこの形に該当していて、むしろ多数派であり、もはやIT業界でPMやPMOで食うのであれば、避けることはできません(ただし「度合い」によって多少難易度は変動します)。

このような状況下で、打ち手はないのかといえば、実はあります。個々人の意識をプロジェクトに向けさせるという「意識改革」が困難な状況で、スピード感を持って対処できる、数少ない有効な打ち手のひとつに、「全体に対してガバナンスを効かせる」、つまり「プロジェクト全体に対するマネジメントを強化する」という手段があります。

トップのカリスマ性を利用したり、第三者機関や組織の外部の要員を介入させて、プロジェクトを強力にコントロールするなど、やり方はいくつか考えられます。かなりの荒療治になることは明らかなのですが、プロジェクトの正常化には、それなりのコストがかかりますし、プロジェクト建て直しを担う要員には、覚悟と強い意思、いうなれば「人間力」が必要となってきます。このあたり、精神論で終わらさないためにも、人間力研究、さらに深掘りを継続していきます。

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